これが現場の実情だ!
勝手な有給休暇の取得
看護師の有給休暇に関する悩みとして多いのが、「確認のない」有給消化です。シフトを作成するのはリーダーや師長ですが、その際に本人の許可なく有給休暇をあてはめられるのです。なぜ勝手に有給休暇を使ったのか質問しても「余っていたから」と返され、理不尽な対応に怒りを覚えたことがある人もいますよね!しかも、そういう人ほど自分にとって都合のいいシフトを作成する傾向があります。当然のように毎月連休を取得している人もいます。
そんな理不尽は本来ならば許されませんが、今後の人間関係や立場を考えて泣き寝入りする人が多いのも事実です。シフトを作成するのは上司なので、反発できないんです。そのため、「有給休暇なんてそもそも期待できない」という雰囲気の職場もあるようですね。しかし、有給休暇は労働者の権利です。むしろ、「使わなければならないものだ」という意識が必要ですよ。
表面上はいい数字だが
2014年に行われた調査によると、看護師の平均有給消化日数は年間8.86日でした。完全に消化できた人は44.5%です。つまり、有給休暇を完全に消化できたのは全体の4割ほどで、平均では年間9日ほどは消化できているということになります。実は、この数字は他の一般職と比べてもいい数字です。しかし、実情は違います。
消化しているといっても、実は冒頭に述べたように他の従業員との調整のために強引に有給休暇をあてはめられているケースが多いんです。そのため、「有給休暇を自分で取得した」という実感がなく、ただのシフト休と同じような感覚になってしまいます。これではストレスが溜まる一方ですよね。もしかすると、こういった部分が離職率の高さに影響しているのかもしれません。
退職時にも取得できない
有給休暇を勝手に使われてしまうことも問題ですが、それ以外にも「退職時に有給消化ができない」という問題があります。有給休暇は希望期日に取得させることが雇用側としての原則ですが、その一方で「事業の正常な運営を妨げるおそれがある場合に限り取得期日を変更する権利がある」というルールが存在します。そのため、病院側としては余った有給休暇を消化されると現場が回らなくなるという判断から、退職時の有給取得を拒否してくるんですね。この問題に関して、日本看護協会は「病院側の事情を汲んだ上で交渉し、有給休暇を買い取ってもらうようにしましょう」といったアナウンスしかしていません。しかし、それができるならすでに多くの看護師が交渉しているはずです。実際には、泣く泣く有給休暇の消化を諦めるケースがほとんどなのです。